イレッサ (ゲフィチニブ)のその後
iressa / gefitinib


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イレッサiressa(gefitinib)の臨床効果
  第U相臨床試験 IDEAL1
  学会報告(
IDEAL1サブセット解析)
イレッサiressa(gefitinib)の安全性
  第U相臨床試験 IDEAL1
  市販直後調査及び副作用モニタリング実施報告  (2002/7/16-2003/7/15



イレッサの臨床効果

  第U相臨床試験 IDEAL1


第U相臨床試験概要
―化学療法による既治療の進行非小細胞肺癌患者対象―

 

第U相国際共同臨床試験
IDEAL1

米国第U相臨床試験
IDEAL2

日本および欧・豪を含む9カ国

米国

対  象

化学療法による前治療を受け、再発もしくは抵抗性を示した
進行非小細胞肺癌患者

プラチナ製剤を含む
1回および2回)

プラチナ製剤、ドセタキセルを含む
(少なくとも2回)

103
(日本人:51例、外国人:52例)

102

投与方法

病勢進行または副作用により服用不可となるまで、
イレッサR 250mg11回連日経口投与

主要評価項目

奏効率・安全性

奏効率・自覚症状改善率

IDEALIRESSA Dose Evaluation in Advanced Lung Cancer


IDEAL 1;抗腫瘍効果の特徴(イレッサR250mg

  • 奏効率:日本人で27.5%、全体で18.4% 前治療レジメン数やPSに関わらず奏効が認められた
  • 腫瘍縮小までの期間:治療開始の最初の4週以内に約7割の症例で奏効が得られ、16週以内に100%の症例で奏効が得られる
  • 腫瘍縮小率:奏効が得られた症例の腫瘍縮小率の平均は約80%1)
  • 腫瘍縮小持続期間:奏効期間中央値13.0ヶ月 (範囲;2-20+)持続した

1) イレッサR250mg500mgとあわせて解析



IDEAL1 日本人症例における解析
−奏効率・生存期間中央値・1年生存率・TTP

 

奏効率

(%)

生存期間中央値

()

1年生存率

(%)

TTP中央値

()

250mg

n=51

性別

女性(n=16)

37.5

18.3

68.8

-

 

男性(n=35)

22.9

12.4

51.6

-

組織型

腺癌(n=38)

34.2

16.8

64.8

-

 

腺癌以外(n=13)

7.7

8.1

30.8

-

合計

27.5

13.8

57.0

3.8

中川 第44回日本肺癌学会総会2003


まとめ(IDEAL1の結果より)
―イレッサRのベネフィット―

  • 既治療進行非小細胞肺癌患者に対して高い抗腫瘍効果が得られる    
  • 病勢コントロール率は日本人で70.6%、全体で54.4%
  • 奏効率は日本人で27.5%、全体で18.4%
    • 1年生存率は日本人で57%、全体で35%
  • 生存期間中央値は日本人で13.8ヶ月、全体で7.6ヶ月
  • 奏効が得られた患者の効果発現は速やかで、長く効く
  • 抗腫瘍効果の発現は治療開始4週以内に約70% 16週以内に100%
    • 奏効期間中央値は13.0ヶ月
  • 自覚症状改善が早期に得られる
  • 症状改善までの期間中央値は8日(中央値)
  • 症状改善率は日本人で48.5%、全体で40.3%


イレッサの安全性
  第U相臨床試験 IDEAL1
  市販直後調査及び副作用モニタリング実施報告  (2002/7/16-2003/7/15


主な副作用:IDEAL1 

 

日本人

外国人

副作用評価対象例数

51

52

103

副作用発現例数

50

38

88

副作用発現率(%)

98.0

73.1

85.4

10%以上発現した副作用> Grade4の副作用は認められませんでした

副作用

日本人

外国人

発現例数

(%)

発現例数

(%)

Grade別発現例数

発現例数

(%)

Grade別発現例数

Grade1

Grade2

Grade3

Grade1

Grade2

Grade3

下痢

25(49.0)

24

1

0

16(30.8)

9

7

0

41(39.8)

嘔気

7(13.7)

6

1

0

6(11.5)

5

0

1

13(12.6)

発疹

32(62.7)

15

16

1

16(30.8)

12

4

0

48(46.6)

そう痒症

25(49.0)

23

2

0

6(11.5)

3

3

0

31(30.1)

皮膚乾燥

17(33.3)

15

2

0

11(21.2)

10

1

0

28(27.2)

ざ瘡

4(7.8)

2

2

0

9(17.3)

8

1

0

13(12.6)

AST上昇

11(21.6)

9

2

0

0

0

0

0

11(10.7)

ALT上昇

11(21.6)

8

1

2

2(3.8)

2

0

0

13(12.6)

食欲不振

8(15.7)

8

0

0

1(1.9)

0

1

0

9(8.7)

疼痛

9(17.6)

8

1

0

1(1.9)

1

0

0

10(9.7)

重大な副作用として、急性肺障害、間質性肺炎、重度の下痢、脱水、中毒性表皮壊死融解症※、多形紅斑※ 、肝機能障害、血尿、出血性膀胱炎、急性膵炎があらわれることがあります。


市販直後調査及び副作用モニタリング実施報告

  • 調査方法
「医療用医薬品の市販直後調査等の実施方法に関するガイドライン」(医薬安第166号、医薬審第1810号)にもとづき、本剤の安全性確保のため、平成14716日から平成15115日まで実施、その後副作用収集状況から安全対策を更に確実なものとする必要があると考え、「市販直後調査」終了から更に6ヶ月間、自主的に本製剤の納入施設に対し、「副作用モニタリング」を 下記要領にて実施
  • 調査期間
平成14716日〜平成15715
  • 推定使用患者数
    35,000人(販売数量から推定)
  • 重篤な副作用発現数
    発現例数:902(295)2 発現件数:1091(319)2
  • ILD1発現数
発現例数:698(278)2  発現件数:722(290)2

1 ILDInterstitial Lung Disease:急性肺障害・間質性肺炎
2 ( )内は死亡例数及び死亡件数


ILD以外の死亡例があった副作用

副作用の種類

発現件数

( )内は死亡数

感染症および寄生虫症

蜂巣炎

11

代謝および栄養障害

食欲不振

71

血液およびリンパ系障害

播種性血管内凝固

31

血管障害

ショック

11

出血性ショック

32

神経系障害

脳梗塞

31

心臓障害

心不全NOS

31

呼吸器、胸郭および縦隔障害

気胸NOS

71

肺出血

11

喀血

103

胃腸障害

胃腸出血NOS

21

下痢NOS

211

急性膵炎

31

肝胆道系障害

肝障害NOS

292

腎及び尿路障害

腎不全NOS

11

出血性膀胱炎

41

全身障害および投与局所様態

死亡NOS

11

突然死

11

臨床検査

血小板数減少

52

好中球数減少

42

白血球数減少

73

総計

102例、117件(22例、29件)*

*副作用名が「死亡」として報告されたもののILDが疑われた2例は除外した


警告

  1. 本剤による治療を開始するにあたり、患者に本剤の有効性・安全性、息切れ等の副作用の初期症状、非小細胞肺癌の治療法、致命的となる症例があること等について十分に説明し、同意を得た上で投与すること。
  2. 本剤の投与により急性肺障害、間質性肺炎があらわれることがあるので、胸部X線検査等を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
    また、急性肺障害や間質性肺炎が本剤の投与初期に発生し、致死的な転帰をたどる例が多いため、少なくとも投与開始後4週間は入院またはそれに準ずる管理の下で、間質性肺炎等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと。
  3. 特発性肺線維症、間質性肺炎、じん肺症、放射線肺炎、薬剤性肺炎の合併は、本剤投与中に発現した急性肺障害、間質性肺炎発症後の転帰において、死亡につながる重要な危険因子である。このため、本剤による治療を開始するにあたり、特発性肺線維症、間質性肺炎、じん肺症、放射線肺炎、薬剤性肺炎の合併の有無を確認し、これらの合併症を有する患者に使用する場合には特に注意すること。
  4. 本剤は、肺癌化学療法に十分な経験をもつ医師が使用するとともに、投与に際しては緊急時に十分に措置できる医療機関で行うこと。

使用上の注意
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

()急性肺障害、特発性肺線維症、間質性肺炎、じん肺症、放射性肺炎、薬剤性肺炎またはこれらの疾患の既往歴のある患者

[間質性肺炎が増悪し、致死的となる症例が報告されている。]

()肝機能障害のある患者

[本剤投与中に肝機能検査値の上昇がみられている(「副作用」の項参照)。また、代謝及び排泄機能が低下しているため、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。]

※その他の使用上の注意等については、製品添付文書ををご参照ください。


まとめ
―イレッサRのリスク―

  • 第U相試験の結果、主な副作用は皮膚障害、下痢及び肝機能障害であった
  • イレッサR1年間の副作用モニタリングより重篤な副作用のうち、約80%はILDであった
  • 急性肺障害、特発性肺線維症、間質性肺炎、じん肺症、放射性肺炎、薬剤性肺炎またはこれらの疾患の既往歴のある患者に対しては特に慎重に投与を行なう必要がある

特定非営利活動法人 西日本胸部腫瘍臨床研究機構(WJTOG

進行非小細胞肺癌におけるイレッサRによる急性肺障害・間質性肺炎

に対する疫学調査

調査期間:2002831日〜20021231

ゲフィチニブが投与された患者さんは1976

ILDが発症した可能性が疑われたのは91

ILDと確定診断されたのは64

   ★発症頻度は3.2%(95CI2.54.6

   ★死亡率は1.3%(95CI0.81.9

ILDのリスクファクター(3点)

              @男性

              A喫煙者

              B特発性間質性肺炎・肺線維症の合併

ILD発症後の予後不良因子(2点)

              @PS2-4

              Aイレッサ投与開始後2週以内の発症

K.Takeda et al : 10th World Conference on Lung Cancer 2003 #P-626


市販直後調査及び副作用モニタリング報告(ILDのみ抜粋)

副作用の種類

発現件数

( )内は死亡数

呼吸器、胸郭および縦隔障害

間質性肺疾患

588224

肺障害NOS*

4926

呼吸不全

1311

急性呼吸不全

118

呼吸困難

104

低酸素症

52

肺臓炎NOS

41

肺水腫NOS

30

肺線維症

31

肺胞出血

30

急性呼吸窮迫症候群

21

呼吸障害NOS

11

急性好酸球性肺炎

10

肺浸潤NOS

10

感染症および寄生虫症

肺炎NOS

186

気管支肺炎NOS

10

急性気管支肺炎NOS

11

臨床検査

PO2低下

11

酸素飽和度低下

10

血液ガスNOS異常

10

X線NOS異常

10

全身障害および投与局所様態

死亡NOS2

22

傷害、中毒および処置合併症

放射線性肺臓炎

10

総計

698例、722件( 278例、290件)

1NOS=not otherwise specified:他に特定されない
2:副作用名が「死亡」として報告されたもののILDが疑われた2例も追加


ILDの予後に関する危険因子
-
臨床データベース症例(152例)の解析結果-

投与に際しての注意

慎重に投与

IPF等が既存するもの、残存肺機能の悪いもの、PSの悪いもの等は、ILD発症後の予後が悪い可能性がある

IPF等の既存の有無についてCT等によって、正確に評価すること

特にIPF等の既存は、発症後の転帰においては死亡につながる重要な危険因子である

投与全期間を通じて慎重に観察すること

投与早期にILDが発症する症例では予後が悪く、投与初期の厳重な観察が求められる。しかしILDは、それ以後においても発症する可能性がある

同意を得た上で投与すること

患者・家族に対しては、イレッサRの有効性、ILDをはじめとする副作用の発症頻度、ILDによる死亡率、予後因子ならびに今後明らかになる発症の危険因子等について十分に説明する必要がある


ゲフィチニブ投与ならびにILD発症に対する
診断・治療に際して

早期診断

発熱、乾性咳、労作時呼吸困難などは早期に察知

症状の有無に係わらず、注意深い聴診によるラ音の聴取やパルスオキシメーターによる酸素飽和度の低下などの観察

なんらかの異常を認めたときは、速やかに動脈血ガス分析、X線、CTなどを行う

感染症や心不全などの疾患との鑑別の必要性

血中KL-6SP-D等の血清マーカーの変化が参考になる可能性がある

治療指針

イレッサRによるILDが疑われた場合には、速やかにイレッサRの投与を中止

ステロイドパルス療法などの積極的な治療を早期に行なう

剖検例における基本的な病理組織所見はDADであるが、回復例を含む画像解析では、器質化肺炎型、急性好酸球性肺炎型が含まれており、ステロイドパルス療法などの積極的な治療が早期に行われれば奏効する可能性がある

ステロイド治療の減量方法等の詳細については専門医に相談する

ゲフィチニブ(イレッサR錠250)の急性肺障害・間質性肺炎(ILD)に関する専門家会議最終報告より  (平成15年3月26日)


イレッサRに関する臨床的エビデンス

対象および投与方法

イレッサ?の奏効率および安全性

初回治療

1stライン)

単独投与

有効性は確立していない。

化学療法との併用

第V相臨床試験1)にて検討。併用により追加効果(生存率、奏効率、QOL等)はみられなかった。(予期せぬ毒性の発現はみられていない)。

放射線療法との併用

有効性および安全性は確立していない。

既治療

2nd3rdライン以降)

単独投与

第U相臨床試験2)において、臨床的有用性が示されている。

化学療法との併用

2ndライン以降の併用療法における有効性および安全性は確立されていない。第V相臨床試験1)にて、化学療法剤3)との併用時、予期せぬ毒性の発現はみられていない。

放射線療法との併用

有効性および安全性は確立していない。

高齢者

第U相臨床試験2)において、65歳以上と65歳未満で血漿中濃度および副作用発現率ならびにその程度に差はみられていない。

しかし、一般に高齢者では生理機能が低下していることが多いので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。

Performance Status

PS

PS 0-2

第U相臨床試験2)(既治療における単独投与)のみで、臨床的由要請が示されている。

PS 3-4

有効性および安全性は確立していない。


アストラゼネカ株式会社からの情報 2004.7